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2017.02.06 Monday | - | - | - | -

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三越の万年筆祭りで購入した大橋堂の津軽一号、使い込んで大分こなれてきたので写真に撮ってみた。

OHASIDO fountain pen
相変わらず、持ってると呪い成分が接触感染しそうな禍々しい模様。だがそれがいい。写真では分からないかもしれないが、赤い部分の縁が微妙に透明感を持っていて、眺めていて飽きない。グラデーションと言うよりも、透明水彩絵具を塗り重ねた感じ。

紙はニーモシネ。5mm方眼の中に頑張ればひらがな5文字行ける。

OHASIDO fountain pen
インクはビスコンティのブルーにした。試し書きの時に出てきたのがシェーファーのブルーで、これが煮詰まって濃くなって大変美しかったので、ついうっかり買っちゃったんだけど、新品を開けてみたら意外と赤味が強かったので急遽おうちで眠っていたビスコンティさんにご登場願った。

大橋堂さん曰く、文字を書くときにペン先が滑ってしまっては細部まで制御が効かず、細かい文字は書きにくいので最初からある程度引っかかりがあるように調整している、とのことだった(もちろん希望があれば滑らかにしますけどね、とも仰っていた)

なるほど、中字のペンとは明らかに違う抵抗感があるが、それは引っかかりと言うよりも摩擦? に近い気がする。不愉快ではない抵抗感というか……かりかりする感じが、書いてて楽しい。初めて買った万年筆が舶来中字で、それ以降地味に中字ばかりを選んできた私にしてみれば、これは初めての体験だった。

最近は太めの線で大きめの文字を書いていたが、元々私は細かい文字でびっしりノートを覆い尽くす方だった(後で見返して神経症っぽくて直そうと思った)(映画『セブン』の犯人の日記みたいだった)
なんかそんなことを思い出して楽しくなってしまった。今は無地ノートにちまちま文字を書き連ねて楽しんでいる。

今回のことで細字を大分見直したというか、万年筆=太字の方がにゅるにゅるしてて書き心地がいい、と言う概念を覆す感覚だった。やっぱり買ってよかった。



OHASIDO Fountain Pen
どんっ!!! ……みたいなね。

事の起こりは、私が昨日買った梨地(大橋堂一号)に何のインクを入れようかとぼんやり考えていた日曜日の朝。旦那が「本買いに行きたいな」と呟いた。私はそれを聞き逃さなかった。

すかさず、「丸善の商品券持ってるよ、五千円分」と囁く私。「使っていいの?」と無邪気に喜ぶ旦那。計画通り……とほくそ笑む私。別に丸善の券だから、日本橋丸善じゃなくてもオアゾでもどこでも使えるんだけどそれは家を出るまで黙っていた。

その時の私の心理は、前の日、梨子地塗と最後まで迷った津軽塗が売れてればいいなと思うのが6割、残ってたらいいなと思うのが4割くらいだった。でも今思うと自分に嘘をついていたと思う。残ってたらいいな、が9割だった(結果的に)

そもそも、大橋堂主人が「この津軽塗は実験的にちょっと作ってみただけだから、値段も安め」(意訳)みたいなことを言ったのが悪い。1本しかない、しかも梨地よりはお値段が優しい……なんかこう、色々くすぐられるし、何より極細ニブが着いたこのペンを、私は梨地を調整して貰っている間ずっと試し書きしていて、なんかもう自分の物になったような気すらしていたのだった。いや、錯覚だけど。

実際、塗りとペン先が違うだけの万年筆を何本も買ってどうすんだよ、安いペンでもあるまいに……と思っては見たものの、考えてみたら149も146も2本ずつ持ってた。ソワレとドルチェビータのミディアムも形は一緒……

そんなことを興奮気味に旦那に喋りまくりつつ丸善に辿り着くと、果して、昼間に出掛けた大橋堂のブースには、あの津軽塗が鎮座していたのであった。
お互い、半笑いで試し書き。呆れられているのがひしひしと伝わってくるが、さすがにもう気にしない。アホらしいことしてるのは自覚してたからな。

「じゃあ、お願いします」と言ってしまった自分に反省はしているが、後悔はしていない。
大橋堂主人が言った「まあ、ペンの方が待ってたんだろうね」という言葉は私の罪悪感を綺麗さっぱり拭い去ってくれた。

OHASIDO Fountain Pen
この禍々しい模様がたまらない……ずっと見てると呪いが感染しそう。でもかわいい。

OHASIDO Fountain Pen
ペン先も梨地と同じ14金。ただし、こちらは極細。

OHASIDO Fountain Pen
どうせならイリジウムにピントを合わせれば良かったと思うが、さすがに極細となると、大橋堂名物の玉のようなイリジウムはついていない。細かい字を書くには、あまりペン先が滑りすぎてもいけないというので、あえて少し抵抗感を残すような調整をしているとのことだった。確かに、引っかかるというか、滑らない感じがある。その抵抗感がなんだか快感なのである。ペンに振り回されない感じ。

OHASIDO Fountain Pen
梨子地塗と。ほんとに全く同じ形なんだな……でも、塗りが違う分、持ったときの感覚は結構違う。ぬるりと手に吸い付いてくるような滑らかな梨子地塗と、微妙な凹凸がへんに肌に馴染む津軽塗。

結局、どちらを先に買っても、翌日もう一本を買ってしまったような気がする。まあ滅多に買える物でもなし、そもそも梨地を持って帰宅した時点で「大橋堂一号」なんて名前を付けたこと自体が確信犯的な行動だったと今は思う。

OHASIDO Fountain Pen




ちまたで噂の世界の万年筆展に行ってきた。普段の日本橋丸善の万年筆売り場は地下1階だが、今回は地上1階の催事場に場所を拡大して。そういえば日本橋丸善の一階は初めて行った。

地下一階にはインク工房が来てた。時間が時間だったのでもう並べなかったけど。と言うか何の準備もなく行ったのでびっくりした。
あとは舶来万年筆コーナーと国産万年筆コーナーに別れて激しいバトルが繰り広げられていた。客が結構いた。スティピュラのスプレマ・ペラーゴのアンバーが3割引だったり、デルタのオールドナポリの万年筆とボールペンが4割引だったりした。

地下は、客よりも店員の方が多かった気がする……
ちなみに、丸善日本橋店限定インク「日本橋 紫」はもはや売り切れだそうです。

で、今回の目的は大橋堂の万年筆。仙台の手作り万年筆屋さんで、大きなイベントじゃないと手に入らないみたい。なんか最近気になって仕方なかった。
国産エボナイト漆塗りと言えば中屋だが、こちらもエボナイト軸・漆塗り。つうか、すぐ向いに中屋のブースがあって入りづらかったよ……中屋の万年筆をすでに持っている身としては……

会場には六時頃ついて、大橋堂のブースへ直行。エスカレーターの下で「世界の万年筆展を開催しておりまーす」ってずっと散らしを配り続けていた店員さん、ご苦労様でした。何度もうろうろして正直すまんかった。

まあ、わざわざ会社を早引けして祭りに参加して無傷で帰ってこられるはずがあるだろうか、いや、ない。覚悟はしていましたよ。ぎりぎりまで自制心と戦いはしたが。

OHASHI-DO fountain pen
人間とはオロカな生き物ですニャー、と言った表情。

OHASHI-DO fountain pen
猫が興味を示している。桐箱のにおいがお気に召したようだ。

OHASHI-DO fountain pen
梨子地塗り。きらきらしてて凄く綺麗だったものだから……でも、これと最後まで迷ったのは、実験的に作ってみたという津軽塗。赤と黄色の禍々しい模様が何ともいえず素晴らしかった(参考画像:こんな感じの塗りがもうちょっと細かくなったような……手触りがしっとりしててすごく良かった)

予算さえあれば二本買ってた、と言うくらい悩んだ。最終的には「どっちがいいですかね?」とか聞いちゃった。「好みですからねー」とあっさり言われたがその通りだ。

OHASHI-DO fountain pen
149と比較してみる。かなり短い。ちなみに中屋のシガー・ロングと比べたら、キャップ閉じた状態で5cm違った。

OHASHI-DO fountain pen
しかし、キャップを開けると長いのです。このギャップにちょっとびっくりした。キャップをさして握った状態がとても手のひらにしっくり来た。

OHASHI-DO fountain pen
ペン先。今回は細字を選んだ。極細と最後まで悩んだけれども、結局安全地帯に逃げ込んでしまった感がないでもないが、うちにはいないタイプの子を迎えられて満足です。

OHASHI-DO fountain pen
OHASIDOの刻印があるペン先。セーラー製。側面に「S-F」とあるので軟調細字ってこと?
書き味は弾力があって、普通のガチニブとは違う雰囲気。細字に対するイメージが一気に変わった。そして何より、びっくりするほど書きやすいのだった。なにこれ、みたいな。「大橋堂!」みたいな。

OHASHI-DO fountain pen
美しい梨子地塗はとても写真で再現することは出来ませんでした。黒地に金とオレンジが散りばめられている……津軽塗はど派手で目立ってインパクトが大きかったが、こっちの梨地は地味差の中に趣があるというか……まあ充分派手だが……

ちなみに、ボディはエボナイト製なのでびっくりするほど軽い。軸に金属リンクをはめて主さとバランスを調節できるようにしたモデルも試してみたけど(緑軸諭吉12人)うーん、この軽さがいいのかも、と思った(予算完全オーバーの負け惜しみではなく)

この、「小さいのに長い」「細字で滑らかな書き味」という色々私の予想を裏切ってくれるところが購入の決め手というか一目惚れというか……しかも無料メンテナンスもして頂けるというので安心です(年数回のチャンスだが)
あと各所で囁かれている「ネジの回転数が多い」だが、確かに手元のペンは5回まわさないと閉まらない。まあ別にどうでもいいけど。

結局、1時間くらいお邪魔していた。軸とペン先が決まった後、ペン芯とかペンポイントとかの対面調整をしてもらえたのだが、人見知りの私がかなり楽しくお話をさせて頂いて、なんだか久しぶりに「物を買うプロセス」自体を楽しませて貰ったような気がした。

まだインクは入れていない。眺めてにやにやしているだけである。



結局の所、私にはモンブランの149中字が1本有ればいいのではないかと思い始めた去年の暮れ、出来たら五〇年代の149が欲しいなあ(三島由紀夫とお揃いの)でも幾らくらいするのかなあなんてぼんやりと思いながら悪魔の館ことユーロボックスへ足を踏み入れたのが運の尽き。

50年代149が店頭にあるではないか。あったのだが、値段は希望通りとは行かず諭吉17人分。さすがにこれは手が出ない、諦めて帰ろう、もしくは店頭にあるのが太字だから中字を探してもらう依頼をしてお暇しよう、と踵を返しかけたその時に目に入ったのが70年代146。そういえば146はプラチナラインしか持ってなかったなあ、やっぱりモンブランの醍醐味は金色だよなあ、とか逡巡すること数分。

ちなみに私は149の次くらいに146が好きだ。キャップをはめて丁度良い筆記感、地味派手な佇まい……使いやすさだけを追求したら、このサイズ、この形が自分の手に合ってるような気がしている。まあドルチェビータM800も好きなんだけどな。

Mont blanc 146
そしてほぼ1ヶ月後、こうして私の手元にやってきた金色の146。現行146と比べると微妙に短く、微妙に軽い。特徴的なのは、尻軸の形がスマート、というか細くてちょっと角張ってることかなあ。

Mont blanc 146
ホワイトスターの形もちょっと違う。向かって左が古い方だが、ちょっと角張っているのがおわかり頂けるだろうか。まあ、どっちも可愛いのだけれども。

Mont blanc 146
ペン先のメッキも違う。古い方は全金です。
ちなみにこのペン先、ユーロボックスで見たときは赤茶けてて凄くかっこよかったのだが(ようは経年変化でくもってるだけ)磨いてくれたので普通の金色になっている……あのままでも良かったのにな……先に言っとけば良かったかと後悔した。ほっといたらあんな色に戻るのかね。

Mont blanc 146
ペン先は多分Bくらい。ちょっと細めに調整してもらった。本当は中字が良かったんだけど、現行の法も中字だし同じじゃ芸がないだろうし、どうせ別の時幅もいずれ欲しくなる、と思って……(既に複数本購入することが仮定されている)
インクウインドウは青。作家シリーズのドストエフスキーと同じ色になります。ドストエフスキーはいいペンだと思う。地味派手で。

Mont blanc 146
ペン芯の形状も現行とは違う。手前が現行、奥が古い方。一本縦線が入っていて、フィンが抜けていない。
この頃ってエボ芯だったっけな? さっきインクを洗った乾かしてるんだが、ペン芯が黒と言うよりは灰色。なんか見たこと無い色してるな……

とりあえず、じっと観察してみると、このペンには以下の特徴があるようだ。

・キャップ上部にシリアルナンバーの刻印無し
・キャップリング(3連)には「146」等の型番刻印は無し(フォントは現行よりちょっと細め)
・クリップはなで肩っぽい
・ペン先の刻印は「14K」で全金
・インクウインドウはクリアブルー
・尻軸のリングはフラット

まあなんか、70年代だか80年代だかよく分かんないけど、ユーロボックスが70年代というなら70年代なんだろう、多分。修理屋なんかで部品が変わってる可能性もあるし、そもそも私も部品取っ替えてもらったし。部品が変更されてるということは、前のオーナーが修理しながら大事に使ってたのかも知れないし、そう考えると楽しいけれども、ヴィンテージを買うときいつも思うのは「これが誰かの遺品とかだったらどうしよう」ってことだな。
それはそれで別にいいし、今度は私がそれを引き継いで大事に使おうとは思ってるけど……

私も自分の形見分けは万年筆にしようと思ってるし、そう言うことをこみにしても、ヴィンテージ万年筆は面白いです。



先日、別冊太陽の三島由紀夫特集号を読んだのだが、結構面白かった。万年筆の話題はちらりとも出ていないけれども、直筆原稿の写真が結構あったので書き記しておくことにする。

満寿屋の原稿用紙といえば、三島由紀夫や川端康成が愛用してたとして有名だが(公式サイトからのアナウンス)別冊太陽に掲載されていた直筆原稿は、ほぼオキナの原稿用紙だった(多分だけど、新潮社が渡した原稿用紙がオキナだったんじゃないかな)

その中でも特に目を引いたのが、遺作となった『天人五衰』の最終ページ。細字の万年筆(インクは多分ブルーブラック)を使って描かれた原稿は、なんだかほかの直筆原稿とは違う。
三島由紀夫の筆跡は、かっちりしていて読みやすい(書き損じの原稿は捨ててしまって編集者には見せなかったというから)のだが、なんだかこの最後のページの文字は、崩れているのではないけれども勢いがついていて、自分でも制御できないような圧倒的なエネルギーを感じる、ような気がする。これを書き上げた後、市ヶ谷駐屯地に(まあ数日のブランクはあったといえ)……

書斎の写真には、やっぱりモンブランの149がででん、と控えている。鉛筆と、おそらくはパーカーであろう金張りの万年筆もあるけど、なんでかあんまり話題に上らない。パーカー51らしいというもっぱらの噂だが、パーカー持ってないからわかんない。

あと、三島由紀夫と万年筆の話題で、こんなページを発見した。
『三島由紀夫と万年筆』

下田にある、三島ゆかりの「日新堂」というお菓子屋さんに、三島が駐屯地に赴く前において行ったという万年筆があるという。その写真もあって、ちょっと感動した。
万年筆のモデルは、PILOTのキャップレス(緑軸)。今でいうところのゴールドグリーンかな。いろんな色があるみたい
古い方は、もつところの金が少し長いのか。キャップレス、全然興味なかったけど、60年代物だったらちょっと欲しいなと思ってしまった。すごいぞ三島パワー(物欲)。

三島由紀夫は細字を好んでいたようだ。というか、その時代、あんまり太字なんかははやらなかったのかもしれない。三島直筆原稿を見て、私の太字熱が一気に冷めたことは、ここに書き記しておくことにしようと思う。

万年筆以外で結構面白かったのは、三島が猫好きの人と交わした書簡。「愛猫チル花押」と書いて、ブルーブラックインクの肉球スタンプが押してある。猫はさぞかし迷惑だっただろうが、猫の肉球にインクを塗りたくって、葉書にぺたりと押して、それを見てにやにやしている三島を想像すると微笑ましい。直筆猫のイラストとか、妙にうまいし……似てるし……

最近の作家(おそらくは安部公房以降)が不幸(?)だと思うのは、ワープロ・パソコンの普及によって直筆原稿がなくなってしまったことだと思う。もし、死後に作家の博物館とか記念館とかが建立されたとして、『直筆原稿』『愛用の筆記具』ではなくて、『自分で印刷した原稿』『愛用のノートパソコン』が展示されているのではあまりにも寒々しい(いや、しかし安部公房が愛用していたワープロ・文豪があったらそれはそれで見てみたいが……)



Montblanc No.14
先日衝動的に購入したモンブランNo.14……R&Kのヴァーディグリーズ.を入れてがしがし使ってたら、なんかいきなり歩み寄ってきた(気がする)。

もともと平研ぎの太字で、馴染むまでには結構書きにくかったりインクが出づらかったりしたのだが、ここ数日間の書き心地の変化が露骨すぎてびっくりした。ペン先はビンテージモンブランにありがちな弾力のある柔らかさ。それゆえにペンポイントの摩耗も早かったのかも? と仮説を立ててみるが、真偽のほどはわからない。

しかし、随所で称賛されているNo.14。購入当初は正直「それほどのものか?」と懐疑的な気分だったのだが、今となっては、なんかもう手放し難い。書きやすい。特に走り書き。ある程度スピードに乗って筆記した時に感じる適度な弾力は素晴らしいと思う。ビンテージモンブランはやっぱり好きだ。

その柔らかさは、オノトとはまた違う。オノトはペン先が長くてフワフワした感じ(まさに毛筆)だが、No.14はフーテッドニブだけに弾力はあるがニブがしっかりホールドされていて、「ふわふわ」ではなく、露出している部分のニブがしなる「ぐにぐに」だと思う。

Montblanc #14 / R&K verdigris
筆跡はこんな感じ。自分の文字の癖がさらに強調されるようだ。でもやっぱり下手は下手だよ、どんなペン使っても……。スタブ系のニブは書いてて面白い感覚だから好きだけれども。

ボディも軽いし、勘合式のキャップもちょっと取り出してさっと使うにはちょうどよい。キャップをぐるぐる回す儀式も集中力が高められるようで好きだが、勘合式も結構いい。惚れた。

そんな感じでがっつり使いたい半面、このキャップにはひびが入りやすいという例もあるので、大事に大事にも使いたい。でもノートに走り書きすると気持ちいい。

Montblanc #14 / R&K verdigris
走り書きよりは少し丁寧に書いてもこのざま。紙はLIFEのバンクペーパー。
お帽子を被っているニブはやっぱり可愛い。ころんとしていて、質実剛健なイメージがあったモンブランのドイツっぽさが薄れるような。

余談だが、先日モンブランの作家シリーズ[アガサ・クリスティ]が私のペンケースの中に入っている、という夢を見た。一体何のインクを入れようか迷いに迷いぬいている私。結局決まる前に目が覚めてしまったが、そんなに欲しかったのかと目覚めてしばらく呆然としていた。
しかし夢の中では、どっちかというと、「こんなに買っちゃって、もうペンケースあいてないよ……」と同時に絶望もしていたのだった。夢の中でも反省している。でも既に買ってしまっているところが、さらに業が深いというものだ。



Montblanc No.14 & DOLCEVITA Medium
先月の丸善ビンテージ筆記具フェアで購入したモンブランのNo.14を、やっと本日お迎えすることが出来た。ドルチェビータと記念撮影。

本当は明日引き取り予定だったけれども、もしやと思って丸善に電話で問い合わせしてみたら届いていると言うことだったので、台風の気配を感じながら大手町まで。

全然関係ないけど、万年筆売り場に電話を取り次いでもらおうとしたら、「国産と舶来で担当者が別れておりますので……」とのこと。さすが丸善だなあ、でも「舶来」って言葉を聞くのも滅多にないなあ、としみじみ思ったり。
ちなみに現在丸の内オアゾでは、S.Tデュポンのフェアやってた。あと手帳が凄かった。買わなかったけど。

Montblanc No.14 White star
初めての二桁シリーズ。先月は気付かなかったのだが、帰宅後『趣味の文具箱』をひっくり返して、尻軸にもホワイトスターがあることを知った。なんだか得した気分です。
クリップはまあ経年変化というか、ちょっと痛んでいるけれども、アンティークゴールド! って感じでいい雰囲気ですよ。

Montblanc No.14
この写真では黄緑に見えるが、インク窓は黄色。角度によって色が変わって面白い。インク入れたら見えなくなってしまうし、どうしても汚れるだろうから、ユーロボックスで綺麗に洗浄してもらった直後の姿を写真に残しておきましょう、と言うことで結構撮った。

Montblanc No.14
ニブはBくらいか? ちょっとスタブ調になるように調整してもらった。まだインクを入れていないのでどんな筆跡になっているかは分からないが、多分かっこよくなってると思う。

インクについては、モンブランの黒かブルーブラックかで、かれこれ一ヶ月くらい迷っている。古典ブルーブラックだけどさすがにモンブランの万年筆だから大丈夫だろうし、でも黒の潔さも捨てがたいんだよなあ……以下永久ループ。

モンブラン黒は色々な万年筆で使っていてフローもいいし色っぽいし好きな黒なんだけど、ブルーブラックは149だけにしか使っていない。149(EF)以外のどの万年筆に入れても「なんか違うような気がする」と思ってすぐ抜いてしまう。理由は分からない、本能的な物だとしか。

古典ブルーブラックとはいえ、『趣味と物欲』ブログさんの『古典ブルーブラックインクの万年筆へのこびりつきを化学的に落とす。』と言うエントリにあるように、なんかアスコルビン酸で綺麗に洗えるようなので、No.14で使っても別にいいかなあ、とも思うし。

ちなみに、薬局でアスコルビン酸の粉末買ってきて、1%の水溶液作って149を超音波洗浄してみた。いつもよりインクがにゅるにゅる出てきたような気がした。まあ、怖くて分解できないので、どこまで洗浄できたかは疑問だが。
ついでに、水溶液を水道水で洗い流した後、他の万年筆と一緒にプラチナのインククリーナーに漬けてある今現在。気休め程度だろうが、まあ、一晩放置してみる。

今回も、ヴァーディグリーズは凄い色が出た。あのインクは水洗いだけでは残りやすいのか、それとも洗いやすいからこそこれほどまでインククリーナー溶液を染めるのか、どっちだ?

ともかく、早くインクを入れてみたい。でも迷う。あのニブからどっちの色が出てきたら美しいだろうか……まあどっちでもいいような気はするけど、今度吸入するとしたら、どっちも新ボトルのミステリーブラックとミッドナイトブルーだぜ。どうしようかな……

Montblanc White stars

いつの頃からか、ホワイトスターが好きになった。万年筆を使い始めたころは、モンブランのあの『いかにも万年筆っぽい感じ』が苦手だったはずなのだが。今となってはこのざまだよ!

white stars
左から、149(現行)、146(現行)、142。149は大好きだが、キャップトップに対してホワイトスターが小さすぎると思う。146はいいバランスなんだろうが、私は大きめのもったりした感じのが好きなので、現行品ならショパンとか買ったらいいの?
しかしこの写真、クリップにピントが合ってるなあ。

Mont blanc #242 & 146
こちらは146と242。やっぱりビンテージのホワイトスターはでかい、そしてエッジが緩やかでかわいい。飴色に経年変化した感じもいいし、この辺りが、私がモンブランのビンテージが好きな理由なのだろう。書き味とかではないのだ、たぶん。

Montblanc Limited Edition "Dostoevsky"
そしておそらく我が家で最も高貴なホワイトスター、ドストエフスキー先生。純白ではなく、かといって飴色でもない、微妙な感じの色です。作家シリーズの何が好きって、キャップトップが平らなデザインが多いということだ。モンブランのまるいデザインもまあ受け入れなくもないし慣れてきたし結構かわいいな、と思ってるけど、やはり三つ子の魂百まで、一番初めにもらったDELTAのソラリスがそうであるように、私はキャップトップが平らなデザインが大好きだ。理由は分からない。本能的なものとしか思えない。DELTAが好きな理由の一つもそれだ。ドルチェビータのあのまっ平らな感じ……!

Montblanc Limited Edition "Dostoevsky"
高貴なホワイトスター。このデザイン、やっぱり大好きだ。

作家シリーズといえば、2010年はマーク・トゥエインだが、手を出そうとは思わないものの、これも実物見たら綺麗なんだろうなあ。作家シリーズってのきなみ値上がりしてるけど(限定だからだろうが)もしかしたら出た時に買っておいた方がお得なのかもわからんね(悪魔の囁き)だってやっぱりアガサ・クリスティ欲しいもの。あれもキャップトップが平らで大きめのホワイトスターが付いてるから。まあお高いものだけど。

逆にカフカは作家としては好きだけど、デザインがなあ……『変身』のザムザは芋虫系だと思い込んでたから、ペン先に書いてあるG系の絵柄はどうしても納得できない。大体カフカが執拗に変身後のザムザの描写をしなかったというのに、なんであっさり描いちゃうんだよ。空気読めよ。意味ないだろ。

ともかく、ホワイトスターが好きです。だから先日のビンテージ筆記具フェアでNo.14をうっかり購入してしまったのは不可抗力だったと思います。だって尻軸にもホワイトスターが(ry



ONOTO the PEN

丸の内OAZOでユーロボックス主催のヴィンテージ筆記具フェア開催中なので、仕事帰りにちょっと行ってきた。正直、下心はあった。それは否定しない。

思えば毎年1回は行ってる。2008年3月2009年3月その12009年3月その2……今年も3月にやってたのかな? やってたとしたら私のスルースキルは大したものだと思うが、今回は逃れられなかった。これも情報化社会の弊害だと思う。

大手町駅は改札からオアゾまでかなりの距離を歩かなければならないうえ冷房も大して効いていないので、正直夏場は敬遠したくなる店だ。外から行っても暑い。やっぱりやめとこうかなあ、と思いつつ天気予報を見ると、ちょうどその日は猛暑日が連続するこの夏においてエアポケットのような気温の低い日だった。嵌められた。

4階の万年筆売り場をちらちら眺めながら奥へ向かうと、いつもの感じの小さいカウンターに万年筆がずらり。にやにやしながら眺めていると、ちょうどお客さんも切れたので、店主に話しかけてみる。

最初、「ここにあるのは全部古いものなのですが、よろしいですか?」と尋ねられる。「好きなんです、モンブランのビンテージ」と答えると、「あれ、以前にも……オノト……」みたいな。やばい、顔を知られている! とキョドる私。以前伊東屋に来てた中屋のひとにも言われた気がする。

ビンテージは、なんでかわからんがモンブランが好きだ。ペリカンとモンブランで迷っても結局最後はモンブランを持っている。現行品もやっぱりモンブランとデルタが好きだし……。初めのころは、あのモンブランの『万年筆の王道っぽい形』がとてつもなく苦手だったのだが(キャップトップとか尻軸とかがフラットのタイプが好きだった、ドルチェビータみたいな)今はホワイトスターがかわいくて仕方ない。特にビンテージのもったりした象牙色のホワイトスターが。

「柔らかめで、太字で、スタブっぽい筆跡になって、かつ大ぶりなモンブランありませんかねえ」と尋ねて、何本か触らせてもらった。結果、最後に残ったのは#14。ふわふわの18金ペン先と、ひよこみたいなペンの裏側(なんていうのかな、あの部位は。本来ならペン芯がある辺り)
オブリークだったので、書き癖を見てもらってペンポイントの調整をお願いした。ついでに、多少横細縦太になるように。引き渡しは1カ月後になります。

そのほか、完全に予算オーバーだったコーラルレッドとか、ウォーターマンの緑の奴とかエバーシャープの緑の奴とか、思い切り後ろ髪をひかれる思いだったけど触ったらおしまいだと、何とか思いとどまった。次の日目が覚めて、「やっぱり丸善行こう」とか思ったけど、我慢した。断腸の思いで。

その代わりに、ビンテージモンブランの特集があった『趣味の文具箱vol.3』を引っ張り出して#14のページを見ていたら、なんか2桁シリーズは、キャップトップと尻軸に2つホワイトスターがあるとの記述が。試し書きしてる時は気付かなかったけど、なんか得した気分になった。

筆記具フェアの売り場の近くに、ボトルインクが山積みになっていたので、そこからドクターヤンセンのナポレオンとゲーテを捕獲した。ヤンセンは全色2本ずつくらい揃ってたっぽい。あれは見つけた時に確保しないといけないインク。
あとはパイロットから出たインククリーナーが並んでたけど、こちらはしばらく様子を見ることにした。でも後で通販で買って送料を払うよりは買っといた方がよかったかな、と後悔はしている。

結局こうなってしまったことについて、クレジットカードの控えを眺めながら自責の念を禁じ得ない。でもペン先の裏側がひよこっぽくてかわいかったんだよ、本当だよ。

まあなんかストレスによる買い物依存的な雰囲気があるのかもしれない。私の目標は専業主婦だが、万年筆を趣味に持っている以上、今の仕事はやめられないなあ、としみじみ思った。しかしその仕事が主なストレス原因になっていることは否めない。まさにメビウス、いや、ウロボロスの蛇のごとき悪循環である。おわり。



VISCONTI OPERA MASTER-DEMO "RAIN FOREST/CLEAR"
もうパラジウム確定でいいよね……。

さて、このレインフォレスト、初お目見えの際には無理矢理ペン先ユニットを入れ替えたためか、ペンポイントにかなりの段差がありペン芯もずれていた。自分でうにうにして何とか書けるようにはなったのだが、やはり段差の完全解消は難しく、また時々インクが出なくなる、というまあ見慣れた症状が出ていたので、例によって例のごとく、川窪万年筆さんに調整をお願いした。

ペン先をばらすと、どうもインクを吐き出したあとに空気の戻りが悪いのではないか、というご判断。確かに、インクが出るときは出過ぎるほど出て普通のノートじゃ滲んじゃって裏移りしちゃってヒゲも出る、インクの濃淡など知らぬ、みたいな勢いだったのですごく納得した。

溝(3本あった)を掘りなおしてもらって、ペン芯と上手く合わせてもらって、あとはペンポイントの内側が削れ過ぎだったのをグラインダーで研磨してもらう。インク途切れはかなり改善され、インクフローはそのままに、滑らかな感じに生まれ変わりましたよ。まあヒゲヒゲだけど。満寿屋の原稿用紙に書くと気持ちよくなれる太さ・フロー。ただ、普通のノートだと出すぎかなあ、という感じ。

でも、それはローラー&クライナーのヴァーディグリーズ使ってるからしょうがないのかも。このインクは、色味(書いた瞬間は緑っぽく、乾くとダークブルーに変化する)はものすごく好きだしフローもいいし、新しい万年筆にはしばらくこれを入れてペン先が自分の書き癖に馴染むのを待ってるくらいなんだけど、ヒゲ・裏抜けがしやすい傾向があるようだ。とりあえずモールスキンとかでも、そこそこのフローなら問題ないんだが。

しかし、これはさらりとしていてかなりいいインク。いい匂いもするし。太字のペンを買ってペンポイントが書き癖に合わずにインクスキップなどが発生する場合、これを使えばかなり改善される(私の場合は)。とりあえず唯一まとめ買いしているインク(太字に入れるからすぐなくなる)ブルーブラック系では一番好きな色でもある、これをブルーブラックと定義してもよければだが。洗うと赤系の色が出るんだよなーインク事態は全然赤光りなんかしないのに。
それにしても、日本で輸入代理店が決まってよかったなあ(Hokushin楽天市場店)3本程度まで送料500円ですってさ。海外通販とどっちが安いのかは微妙なところだな。

インクの話はさておいて、調整済みとなったパラジウムの書き味はといえば、「面白いです」

ペン先は大きく、ボディも大振りなのでリアヘビー好きの私には理想的な形といえる。試しにキャップを後ろにつけたままかいてみたら爆笑。後ろに、後ろにひっぱられる! これはキャップをつけずに使うものだと思った。軸に傷が付いても厭だし。

巨大なペン先がしなると、確かにM1000に良く似た書き味になる。ビスコンティの方が、穂先が長い分自由度が高い感じかな? 「ふわっとした」という形容詞が一番近いような気がする。筆圧で字幅に変化が付けられそう。ビンテージのオノトとかに近い毛筆感。ニブがでかい分、それが増幅されている感じ。でも繊細すぎるわけでもない。イタリアっぽい寛容さというか、適当さというか……オノトの気難しい部分がなくなって、いかにも「現代のビンテージっぽい書き味」が出ているのではないでしょうか。あくまで主観ですが。そもそも、普通のビスコンティのニブ、使った経験がないからなー……

あと、インナーキャップが結構立派で、キャップを閉めるときペン先が当たる当たるwwwそのたびにびくっとなって心臓に悪い。机に向かって、どっしり構えて、平静な心で使うペンだと思った。角ばってるボディというのはフィット感どうなのよ、と思ってたけど、キャップが転がらないし意外と馴染みもよかった。
ダブルタンクパワーフィラーとやらも、フローが良すぎる分すぐにインクがなくなっちゃうんだが、予備タンクがあるので安心。すごいぞダブルタンク。まるでゼロ戦の翼の下にある燃料タンクのようだよ……

先日靖国神社に行ったときに、ビルマ戦線の遺品が並んでるガラスケースの中に、蒔絵っぽい万年筆があった。国産の黒塗りボディで、キャップが閉まってたからペン先は確認できなかったけど。
現代の万年筆とその当時の万年筆では立ち位置が違うとは思うけど、その万年筆は、ちょっと高級そうでデザインなんかも凝っていて、なんか変な連帯感があった。実用品+αとして愛用されてたんじゃないかという妄想を書き立てられるような。

Xperiaで撮ったその写真。見づらいが中央辺りの黒い棒が万年筆。
IN Yasukuni

実用という面ではちょっとあれだけど、レインフォレスト、やっぱりいい万年筆だった。フローをちょっと絞ってもらえばいいんだろうけど、なんか負けた気がするからやらない。自分に合うようにペンポイントを削ってもらえば歩み寄りなど待たずに無理矢理引き寄せられるんだろうけど、やっぱりそれもなんか負けた気がするからやらない。
ベストな状態に調整してもらったので、あとは時間をかけてゆっくり育てる。最近、そんな喜びに目覚めました。

IN Yasukuni
靖国神社の鯉はまるまる太っていた。食いすぎ。蒔絵っぽかった金色のやつ。


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