ドルチェビータ・ソワレ
ただの自慢ですが。

旦那が誕生日プレゼントに万年筆を買ってくれるというので、もう嬉しくって仕事が手につかない。まあいつもだけど。で、今日は万端の準備を重ね、神保町の金ペン堂へ赴いた。

そもそも、丸の内オアゾ内丸善丸の内本店・銀座伊東屋に行って「ドルチェビータのソワレの細字を下さい」と言っても「お取り寄せになります」「今はM(中字)しか在庫がありません」とつれない返事、尚且つ店頭展示品1本しかない品薄状態。あれ、もしかしてドルチェビータって人気ないの? マジ? と、著しく不安になる。まあ、人気があろうとなかろうと、これを買うって決めてたのだけどね。

ずっと神保町で働いてたから、金ペン堂の前は何度も通っていた。けどその時はまだ万年筆堂へ足を踏み入れていなかったから……まさか当時は自分がこの店で買い物をするようなことになるとは思ってもいなかった。もったいない事をしたものだ。今神保町で働いていたらなあ、入り浸ってしまうかもしれないのに。

うきうきしながら起き出して、旦那とランチョンで食事。本当は純喫茶ロザリオへ行こうと思ったが、さすがに土曜日はお休み。ランチョンの窓から古本屋を眺めて、あそこの本屋にあの本がある、とかうんちくを語りだす私。うん、ちょっとうざいね!

食事を終えて金ペン堂へ近付くと、なんか私が挙動不審になる。「あれ、もう着いちゃうよ、いいの? ねえいいの?」なんて言いながら心もち小走り。店には先客がいたので、壁中にずらりと並んだ万年筆を眺めてにやにやする。いいねえ、光ってるねえ綺麗だねえ、何て思いながら、目当てのDELTA社ドルチェビータシリーズのソワレをちらちら見る。オレンジのボディも捨てがたいけど、やっぱり渋いわあ、なんて思いながら。万年筆に興味のない旦那は超絶暇そう。

先客が帰って、ご主人にソワレを出してもらう。私は小さい字をちまちま書くので、細字がいいんですが……と言うと、そもそもこのシリーズでは細字は作ってないんですよねえ、と言うご主人。そりゃあ探してもないはずだよね……!
金ペン堂にある万年筆はご主人が完璧に調整してあるという。試し書きさせてもらったら、まあその書きやすさに感激した。看板に偽り無しだった。ご主人が「これは結構細くなってるよ」とくれたソワレは何と言うか、手にしっくり来る形と重さ。一目惚れ。さらに、金ペン堂の万年筆は、ペン先を裏返しても書けるように調整されている。これだとかなり細い字が書ける。

でも一番驚いたのは、インクを入れてもらう前、ご主人がペン先をぺきっと割ったこと。壊したんじゃなくて、万年筆のペン先の分かれてる部分を押して確認してくれたのだけれど。何の躊躇いもなく力を入れたご主人だが、私には怖くてとても出来ない。熟練した技があってのことなのだろうなあ、とどきどきしながら手元に見入る。

それからメンテナンスの方法とかを色々聞いて、お会計。ようやく私のものになったねソワレ。ついでに、先客がいる間に旦那が見ていたCROSSのボールペンを一緒にお買い上げ。旦那はその時、もう飽きて外に出てしまっていたのでここぞとばかりに。
「モンブランの黒が一番綺麗だから」と、ご主人が黒インクを入れてくれた。買ってすぐ書ける、と言うのは本当らしい。そのまま箱に入れて、何故かPELICANの袋に入れて渡してくれる。取っ手を握る手に力が入る。おまけに、ペンケースを貰った。

何よりも感動したのは書き味で、金ペン堂で買ってよかったと思った。と言うか、他のペンもここで買えばよかったとひとしきり後悔した。金ペン堂で買ったペンなら調整もしてもらえる。店のおくには調整待ちのペンが積み上げられていて、大変なんだよねえとご主人が言う。おかげさまでこちらは大助かりです。

「沢山書いてくださいね」とご主人が仰って、私は袋を大事に抱えて店を出た。口元がにやにやする。私は自分で思っていた以上に万年筆が好きらしい。旦那にボールペンを見せて驚かせ、一人悦に入る。それからコーヒー飲みながら二人で試し書き。楽しいなあ。万年筆は素敵だなあ。これはもう趣味でしょうかね。しかしコレクターにはなりたくないなあ。いつか理想の1本に出会えるのかなあ。
とにかく今は、買ったばかりのソワレを自分色に染めるべく、「沢山書く」しかないのです。万年筆は使い続けていると、いつか「あ、馴染んだな」と思う瞬間が来る。それが楽しみで仕方ない。

それから古本屋を巡って家路。
金ペン堂は楽しい。今度万年筆を買うことがあったら、絶対ここで買おうと心に決めた。

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2017.10.01 Sunday 11:54 | - | - | - | -

Comments

midori - 2008/12/10 10:54 PM
はじめまして。
古い記事に今更コメント残してすみません。

最近万年筆で字を書くのが楽しくて、
”金ペン堂“で検索したらここのページにたどり着きました。
万年筆を手にする時の高揚感がこっちまで伝わってきて、
きれいな万年筆が欲しくなりました。

またたまに読ませてもらいます。
深崎 - 2008/12/11 1:10 PM
>midoriさん
はじめまして、コメントありがとうございます。

万年筆で字を書くのは楽しいですよね。意味もなく原稿用紙を消費したりして、我に帰ってびっくりしたりとか……

金ペン堂さんは通販とかと違って定価販売ですが、やっぱり安心して買えるような気がします。最近はデルタの扱いを増やしたそうで、また私の財布の紐がゆるくなりそうで怖いです。
煙鬼 - 2009/05/08 10:55 PM
いい文章だなあ。
深崎 - 2009/05/12 2:09 AM
>煙鬼さん
初めまして、コメントありがとうございます。
ソワレは今でもモンブランの黒を入れてがしがし使っていますよ!
raden - 2010/03/13 7:04 PM
リンクを辿って、こんなにステキな文章に出会えるとは、今日はなんていい日でしょう。
一冊の本を読み終えたような満ち足りた気分になりました。
ありがとうございます。

深崎 - 2010/04/01 1:15 AM
>radenさん
はじめまして、コメントありがとうございます。
こちらこそ、気に入って頂けたようで何よりです。
ソワレも今では手に馴染み、手放せない一本となっております。
jin-n - 2010/05/31 1:15 PM
大好きな「金ペン堂」を検索していたら、こちらに出会えました。
私は、今から、約3年前に、自分の万年筆を、同店で購入いたしました。
その前に、妻にプレゼントをするために同店を訪れて、いつか自分も買いたいと思っていました。

普段使っている業務メモのノートを持って行って、予算を言って。
お薦めに従い、予算よりはるかに安価で、ペリカンを購入。

以来、今日まで、愛用しております。
そして、自分の万年筆を手にした時の悦びが甦る文章に出会い、御礼を申し上げます。

万年筆ばんざい!金ペン堂、永遠なれ!
深崎 - 2010/06/03 2:05 PM
>jin-nさん
はじめまして、コメントありがとうございます。
金ペン堂はうっかり万年筆をうっかり買ってしまって以来(本当にうっかり立ったんです、そんな予定はなかった、149……)足を踏み入れるのを自重しておりました、無傷では出られませんので。
しかし、やはりここ一番の万年筆は金ペン堂さんで買いたいと思う気持ちは変わらないのです。
使い手に合わせて調整するのではなく、万年筆のコンディションをベストの状態にもってきておいて……半年くらいで歩み寄ってくる快感のようなものが、調整してもらうのとはまた違った楽しみがあります。

でも魔窟なんです。(細部の中身が)無傷では帰ってこれないんです……!
news6040saheiji - 2010/06/20 4:35 PM
先客同様、金ペン堂で検索している際、
こちらを訪問しました。
味のある、たいへん結構な文章だと存じます。
深崎 - 2010/06/20 11:50 PM
>news6040saheijiさん
初めまして、コメントありがとうございます。
お褒めにあずかり光栄です。
金ペン堂さんにはいつも御世話になっているので、そう言って頂けると嬉しいです。
ありがとうございました。
むまのはなむけ - 2013/12/09 3:33 PM
どうもー、こんにちは。
他の方々と同じく「金ペン堂」の検索でこちらに行きつきました。
とても参考になりました。ありがとうございます。
深崎 - 2014/01/26 1:31 AM
>むまのはなむけさん
こんにちは。ご参考になったようで何よりです。最近行ってなくて情報が古いとはおもいます。まちがいがあったらすいません。
Show - 2017/09/05 2:23 PM
ソワレかっこいいですね!最近ペンに興味があってブログにたどり着きまして、楽しく拝見させていただきました。
今はドルチェビータのソワレがすごく気になっていて、コメントしてしまいました。私も欲しいなあ〜。
深崎 - 2017/10/01 2:34 AM
>Showさん
初めまして、コメント有り難う御座います。
ソワレはかっこいいです。オレンジ軸もいいですけど、何か黒軸にオレンジのラインが奥ゆかしくてイケメンの香りがします。それにつけてもDELTAの活動休止が悔やまれますね……地下アイドルかよ……

ドルチェビータは割と太めの軸だけどそんなに重くないので私には使いやすいです。キャップを後ろに挿すと大分リアヘビーですけど、軸が長いので挿さなくても短すぎることはありません。大変私の手にあっているペンだなあ、と思っております。

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